〖山羊座シーズン:土星のコラム〗

太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星。
太陽系の天体たちは、12星座をそれぞれのペースで巡ります。
天体にはそれぞれの働きがあり、12星座と同じように私たちと呼応しています。
また、各星座には守護星として天体が結びつけられています。
シーズン星座の守護星をピックアップして、あなたの中にあるさまざまな「私」にチューニングしていくコラム。
現在の山羊座シーズン(今年は2025/12/22~2026/1/19)は、山羊座を守護する「土星」にまつわるお話です。


土星という壁。


肉眼で観ることができる一番遠くの太陽系惑星、土星/サターン。
天王星、海王星、冥王星の土星外惑星が1900年代に相次いで発見されるまでの長い間、土星こそが世界そして死の象徴とされてきました。
土星の象徴する社会構造や権力は、個人では超えることのできない絶対的な壁でした。
生死をかけて壁に挑み越えて行こうとする「進撃の巨人」や「チ。―地球の運動について―」は、まさに土星の世界観が表現された作品です。


土星は制限や秩序を象徴し、安定、固定、現実的で物質的なエネルギーです。
ギリシャ神話における時間の神クロノス、ローマ神話では農耕の神サトゥルヌスが結びつけられています。
制限というと窮屈なイメージもありますが、全てが自由な無法地帯も、私たち不自由さや不安を感じるでしょう。全てはバランス。
ルールや時間など、制限があるからこそ感じられる自由や枠組みの中での楽しさ。
私たちは土星の壁の恩恵を常に受け取っているということは、否めない事実なのです。


土星のことを語るときには、隣り合わせに位置する木星の存在も役に立ちます。
どこまでも拡大しようとする木星と、縮小して形にしようとする土星は対照的で、それぞれの惑星のシンボルも、互いの上下を引っくり返した形になっています。
木星が優しい先生なら、土星は厳しい先生。
個人のホロスコープにおいて土星は、人生の課題や苦手意識も意味します。
向き合っただけ報酬をもたらす実利の星。
必要な筋力をつけるために厳しい役割を担います。
そうして気づいたときには重圧だったものは、重みとしての安定と信頼へと変貌を遂げるのです。


実際の土星の特徴といえば、その美しいリング。
それは球体を守っているようにも、見方によっては球体が囚われているようにも感じられるかもしれません。
指輪を葬るための冒険の物語「ロード・オブ・ザ・リング」も、文字通り土星的な作品といえるでしょう。結婚指輪もまさに制約ですね。


また、土星は黒という色と関係しています。
全ての色が重なっている黒は時間の色であり、その重厚感には実際に伝統や歴史など、時の経過を感じさせられます。
夜空、神秘、影、潜在意識、死、変容、深淵、混沌、全ての始まり…
黒は古くから宇宙や根源の色とされてきました。


イスラム教の聖地として有名なサウジアラビアのカーバをはじめ、世界各地には黒い立方体があるのはご存じでしょうか。
立方体は正面からは四角形に見えますが、角を中心した斜めからは六角形に見えます。
実際に土星の北極付近には、雲の渦による巨大な六角形が存在しており、黒い立方体は土星の象徴とも考えられています。
カーバを中心に反時計周りに巡礼する多くの人々、その姿はまるで土星のよう!


時間を司る土星は多くの場合、長い髭を持った老人として描かれます。
浮かび上がるのはこの時期大活躍のサンタ・クロース。
「良い子にしていたらサンタさんから欲しい物をもらえる」というクリスマスは土星らしい物質的な文化です。
褒美や報酬を真っ暗な夜中に持ってきてくれる長い髭のおじいさん、これもとても土星らしいのです。
サンタ・クロース、サターン、クロノス、名前まで似ていて面白いですね!


土星は来年の2月に、始まりや意志、自立を意味する牡羊座へと進みます。
土星が牡羊座に入ることで全く新しいシステムやルールが生まれ、意志と役割が結びつく配置は、各々が社会において自分の道を歩むこと、独立や企業なども後押しします。


これまでの常識や過去の成功例も通用しなくなる、そんなときは理屈やルールよりも情熱やビジョンに従って動く方が現実的といえるのかもしれませんね。
だからこそ牡羊座土星期は自分の人生に責任を持つということが大きなテーマとなるでしょう。


土星を擬人化するなら厳格な社長という感じなのですが、牡羊座は裸一貫の精神です。
スーツを脱ぎ捨て新規事業に取り組む若々しい社長、牡羊座土星期はそんなイメ―ジが浮かびます。古くなった習慣や要らないプライドは、早々に脱ぎ去っていきましょう!


牡羊座が意味する時間は「今この瞬間」です。
その牡羊座にて、2月20日に土星は海王星と重なります。
これは時間×幻想も意味します。
現代に生きる私たちは、土星の向こうにも惑星(世界)があることをもう知っています。
壁は行き止まりではなく、越えるために在るものだということも。
今にいることで時間という制限も飛び越えていけるのかもしれません。
私たちの時間感覚はこれまでにないほどに書き換わっていくでしょう。

 


宇宙における元旦は3月の春分ですが、いよいよ2025年も終わりますね。
今年もお読みいただきありがとうございました。
先ほどお伝えしたように来年2月には大きな天体現象もあり、新しさや前進するエネルギーに満ちていきます。
直前の年末年始は、二度と戻らないあなたの「今」を感じてお過ごしください。
いつでもそこに戻してくれる香りと共に・・・

 


2026年初のコラムは1月20日に更新!水瓶座を守護する天王星のお話です。
また来年にお会いしましょう!

 

このシーズンにおすすめ

I fragrance pillow mist Capricornus《山羊座》